役員紹介

日本大学 生物資源科学部 教授
会長
中山 智宏
会長挨拶
現場の「経験」を、次世代の「科学」へ
日本の獣医療において、とりわけがん治療は近年大きく進歩し、多様な治療選択肢が提示される時代となりました。臨床の現場では、承認された適応の範囲だけでは十分に対応できない症例に出会うことも少なくありません。その一方で、私たち臨床家には常に、「その選択は本当に妥当か」「安全性は十分に担保されているか」という問いに向き合う責任があります。
そのような場面において、科学的合理性や既存の知見に基づき、メリットとリスクを慎重に評価し、飼い主様への十分な説明と理解を得たうえで行われる適応外使用(Off-label use)は、獣医師に認められている専門的裁量の一つの形です。それは独立した権限を意味するものではなく、最善を尽くす責務の延長線上にある専門的判断であり、常に妥当性・安全性・透明性が求められる医療行為です。こうした責任ある臨床判断から生まれた知見の多くは、各施設や個人の経験にとどまり、十分に体系化・共有されているとは言えません。優れた成果であっても、科学的枠組みの中で検証されなければ、普遍的な医療へと発展させることは容易ではありません。
先生方が日々の診療で培ってこられた経験は、未来の標準医療を形づくる大切な礎です。当研究会は、特定の利害関係に縛られない学術的独立性を保ち、第三者的視点から補助治療の有効性と安全性を客観的に評価いたします。獣医師の専門的裁量のもとで実臨床から得られる症例データをレジストリとして体系的に蓄積・解析し、現場発のエビデンスを構築してまいります。そのエビデンスを基盤に、日々の診療から生まれた知見を科学として磨き上げ、その成果を広く共有していきます。さらに、共に議論を重ねながら、より安全で確かな医療へと高め、がん治療の新たな選択肢を日本から世界へ発信していきたいと考えております。
当研究会は、獣医療におけるがん治療の未来を、より安全に、より透明に、そしてより科学的に、皆様とともに歩んでまいります。
伴侶動物がん補助治療研究会(SACRA)